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昔は今の鏡#01

人は度々過去を振り返ります。理由は人それぞれですが、これからのことを考える時に一度過去を振り返る人も多いのではないでしょうか。
Annautはまだ始まったばかりで、これから実現したいことが頭の中にイメージできています。ですがきっとこの先自分たちの方向性に迷う時が出て来るはずです。そんな時「あの時自分たちは何を考えていたのだろう」と振り返ることができれば自分たちを見失わずに正しい道を選べるはずです。
ただ、振り返りを記憶に頼るのは危険です。大抵の場合人の記憶は時間が経つと都合の良いことばかり残っていて当時の苦労や雰囲気は薄っぺらいものになってしまいます。このままだと数年後「なんだかんだで自分たちは頑張った」とか自己満足な発言しか出来なくなってしまいます。だからこそ記憶が新鮮なうちに、自分たちの熱量が消え去らないうちに文字に残しておかないと、と思うのです。
Annautがどのようにして出来上がったのか。将来の自分たちの為だけではなく、読んでもらう人の参考にもなるように、ここに記しておきます。全4回の大作です。

気持ちが先走った男
2020年初め、倉敷紡績株式会社(クラボウ)から「デニム生地の裁断くずを提供してほしい」との相談を受けました。当社が契約しているベトナムの縫製工場から出る裁断くずをクラボウへ提供し、後にAnnautが使用することになるメランジデニムの原料にするというものです。
当時はAnnautの名前も、ブランドを作る考えも一切出ておらず、会社としてクラボウに裁断くずを提供できるか、その点だけが議論されていました。
順調に進むと思われた裁断くず提供ですが、ベトナムの工場側が原材料の販売免許を保持していないことが判明し話が完全に途絶えてしまいます。販売免許を取ればよいのでは?と思うかもしれませんが、そこは「郷に入っては郷に従え」、免許取得を促すことはそんなに簡単ではないのです。相手には相手の事情があります。私たちは様々な国で仕事をしていますが、実に多くの文化に触れ、その国その国の民族性を尊重していますし、日本では簡単なことも海外ではそうはいかない、なんてことは日常茶飯事です。そんな時は、単純に掛ける時間とそこから得られる成果物とを天秤にかけます。最終的にその時は販売免許を工場に取得してもらうことを諦めました。
普段は「数多くある案件のうちの一案件が条件不一致の為に終了した」だけのことですが、ここで当時のMD企画部長が会議でさらっと重要な発言をします。
「裁断くずから作ったデニム生地製品ブランドはあり?なし?」
この発言に本気で反応して手を挙げてしまった男がAnnaut立ち上げメンバーの一人、金子(座右の銘 : GRIT)です。2020年4月のことでした。

今日はここまで。